10月某日、宮城県南の亘理町にはらこ飯を食べに行くことにした。その日、亘理町の太平洋岸に位置する鳥の海エリアで、はらこ飯を堪能できる『水産まつり』が催されていたからだ。はらこ飯とは、亘理町発祥の郷土料理で、秋鮭とはらこ(いくら)を使った丼ぶり料理のこと。この秋鮭の水揚げシーズンにしか食べられないはらこ飯を「ぜひ食べておきたい!」と、一年前から思っていた。
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お出かけには温泉はつきもの。亘理町唯一の温泉【わたり温泉 鳥の海】にも立ち寄ることにした。ラッキーなことに『水産まつり』の会場のすぐ横に、わたり温泉はあった。
仙台から日帰り可能な温泉
わたり温泉は、仙台から高速道路を使わずに来るまで40分程度。電車なら、JR常磐線 亘理駅で下車し、そこからタクシーで20分ほどになる。平日であれば、町民乗合自動車さざんか号荒浜線を使って、「わたり温泉鳥の海前」下車すると、温泉のエントランスまで行くことができるが、2時間に1本程度の運行のため、よほど時間が合わない限りは、タクシー利用がおすすめだ。
※参考 さざんか号時刻表
2018年4月に佐勘の手によりリニューアルオープン
太平洋沿岸に建つわたり温泉は、東日本大震災の津波で被災した。5階建ての建物の2階まで浸水したが、温泉は難を逃れたそうだ。2014年に営業を再開したものの業績が悪く、この度、秋保温泉の老舗旅館である佐勘が亘理町から業務委託を受けて、2018年4月にリニューアルオープンした。
秋保温泉の佐勘と言えば、<伝承千年の宿 佐勘>というキャッチコピーに表される通り、江戸時代初期から仙台藩に湯守を任されていた、歴史ある旅館。
「佐勘がプロデュースしているなんて、どんな温泉なんだろう」と期待に胸を膨らませた。
宿泊もできる日帰り温泉
さて、いよいよわたり温泉 鳥の海に到着した。外観はビジネスホテル風。中に一歩入ると、ホテルの趣はあまりなく、小ぎれいな地域の学習センターのような雰囲気に近い。佐勘がプロデュースしてるということで、老舗旅館のような雰囲気を求めていくと、ちょっとガッカリするかもしれない。宿泊施設の日帰り温泉というよりは、宿泊もできる日帰り温泉という認識で出かけるのをおすすめしたい。
温泉は最上階にあり、受付も温泉でするため、エレベーターに乗り込んだ。
わたり温泉 鳥の海は、どんな温泉?
浴場のドアを開けると、ふわっと硫黄の香りが漂ってくる。しかし、お湯を両手にすくい匂いを嗅いでみると、硫黄臭はほとんど感じられない。硫黄の臭いが苦手な人にもおすすめのお湯だ。
ここのお湯の特徴は、薄茶色のとろっとした湯質。「温泉に入ったー」という手ごたえを感じさせてくれる、そんな温泉だ。
内風呂は、43度の熱めと少々熱めの2つの浴槽がある。いずれにせよ、どちらも熱め。窓の向こうには太平洋が広がっているが、その日は窓が曇っていて、そんなに景色を楽しめなかった。残念。
露天風呂は、男性と女性で浴槽が木造りと石造りで異なるが、日によって入れ替えを行っているようだ。木造りの浴槽の露天風呂からは、太平洋が一望できる。お湯は少し熱めだが、海から吹くひんやりとした風が顔にあたって、火照りを冷ましてくれた。アッツとひんやりのバランスが心地よく、ついつい長湯してしまう、そんな温泉だった。
※浴室入れ替え:[奇数日] 1日・3日… 太平洋側浴場『東の湯』が「男性」/[偶数日] 2日・4日… 太平洋側浴場『東の湯』が「女性」に入れ替え

温泉ロビーからの眺望
わたり温泉鳥の海 営業時間/料金/住所
■営業時間
10:00~20:00(最終受付19:30)
※サマータイム(6月1日~9月30日) ~21:00(最終受付20:30)
■料金
大人700円/子供250円/幼児無料
※亘理町民(および同伴者)会員になると500円
■泉質
ナトリウム一塩化物泉 低張性弱アルカリ温泉 加温式
■電話
022-398-2211(電話受付時間 10:00~17:00)
■住所
宮城県亘理郡亘理町荒浜字築港通り41-2
■HP わたり温泉 鳥の海
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