仙台の中心街から車で30分と、仙台から気軽に行ける温泉として知られる秋保温泉郷。実は観光客だけではなく、地元の人にも人気で、日帰り温泉だけではなく、プールやバイキングなど、気軽に行けるイベントとして秋保温泉を利用する仙台市民は案外多い。
秋保温泉随一の老舗旅館 伝承千年の宿 佐勘
秋保温泉の歴史は古く、その昔、欽明天皇が病気になった際に秋保温泉で沐浴したところ、数日で全快したことから、天皇に「御湯(みゆ)」の称号を授けられた。(全国で御湯の称号を持っているのは、秋保のほかに2か所だけ)そして、この御湯の湯守を代々受け継いできたのが、佐勘の当主である佐藤勘三郎なのだ。
そして、佐藤家が湯守として温泉を管理し、江戸時代に宿を開業し、入湯料を徴収し始めたことから、秋保温泉郷は始まった。
また、佐勘は伊達政宗が戦国時代に傷ついた身体を癒しにきていた「隠しの湯」しても知られていて、「秋保温泉の歴史は佐勘にあり」と言っても過言でないほど、伝承千年の宿という名にふさわしい伝統ある温泉旅館だ。

館内には歴史を感じさせる展示品が
仙台駅から秋保温泉までのアクセスは車で40分
佐勘まで、仙台駅から車で40分ほどだが、駅から佐勘のシャトルバス(無料)も運行している。ただし、シャトルバスは、事前の予約が必要だ。
・佐勘 送迎バス予約案内
また、公共のバスでもアクセス可能だが、本数が限られているので、注意が必要だ。
仙台駅前バスプール8番乗り場から宮城交通「秋保温泉」行きに乗車。所要時間は経由により異なり、40分~60分。「秋保温泉湯本」下車、徒歩1分。
バスの詳しい案内は宮城交通のHPで確認できる。
・宮城交通 バス時刻・運賃案内
自家用車やレンタカーの場合、駐車場は佐勘から80メートルほど離れた場所にある。駐車場から佐勘までは、シャトルバスで送迎してくれる。
佐勘の予約不要日帰り入浴プランは2種類
秋保温泉の中ではトップクラスの高級旅館である佐勘を気軽に楽しめるのが、日帰り入浴プラン。佐勘のホームページに記載されている日帰り入浴プランは、ちょっとお高めなのだが、実はホームページに紹介されていない予約不要のお手軽プランもある。
予約不要の日帰り入浴「温泉満足プラン」は2種類。
・入浴+飲食券800円付の2160円のプラン
館内のティーラウンジ<おかみの紅茶>もしくはダイニングレストラン<御厨(みくりや)>で800円分の飲食ができる。800円以上を注文の場合は、差額分を現金で支払うシステム。温泉をメインに気軽に楽しみたい人にお勧め。
・入浴+季節の彩り弁当付の2700円のプラン
和食を中心にしたランチ弁当が付いていて「佐勘に来たのだからちょっと贅沢したい」と言う人にお勧め。
伊達政宗が愛した 名取の御湯
日帰りプランで利用できる温泉浴場は2か所あり、そのうちの1か所が佐勘の眼下に流れる名取川を近くに感じられる「名取の湯」だ。
名取の湯に続くスペースは、旅館とは別世界に区切られたような造りになっていて、まるでお城の一角に紛れ込んだような厳かな雰囲気を味わうことができる。入り口のすぐ脇に名取の湯の由来が掲示されているので、入浴前に一読をすすめたい。名取の湯の背景にあるストーリーを知ると、湯浴みしながら、ついつい伊達政宗の時代に思いを馳せてしまう。
脱衣所はそれほど広くなく、浴場もこじんまりとしている。シャワースペースも少なく、桧造りの浴槽も小さめだが、全体的にはゆったりとした造りになっている。
名取川に面して窓があるが、ここが木の柵で敢えて視界が遮らえっるようになっている。これは、伊達政宗が湯浴みした際に、敵から身を隠すために設けられていたものを再現したそうだ。この窓が開け放たれていて、屋内にいながらも、名取川からのひんやりとした空気を感じることができて、とても気持ちが良い。
サウナがあるのは、日帰り温泉プランでは、名取の湯のみ。サウナ利用したい人は名取の湯で済ませていきたい。
湯温はややぬるめ。しっぽりとした雰囲気のなか、ゆっくりと温泉に浸かるのがおすすめだ。

男湯と女湯を続く廊下の下の、名取川のせせらぎを楽しめるスペースがある
充実の脱衣所が備わった 大浴場 姫の湯
日帰りプランで利用できるもう一か所の温泉は、大浴場の姫の湯だ。こちらは、脱衣所に16台もの化粧台があり、洗い場も多いので、洗髪や体を洗うのであれば、大浴場で済ませるといい。ちなみにこちらの洗面台、いくつかのエリアに分けられていて、エリアごとに設置してる化粧品が違う。エリアが選べるのであれば、自分の好みの化粧品を選んでみるのも楽しい。また、ナノイーのスチームが出るスキンケア器が置いてある化粧コーナーもあるので、入浴後にじっくりとお肌のお手入れをするのもいいかも。
浴場は、屋内にゆるやかに2つのエリアの分けられた大きな浴槽が一つと露天風呂がある。
露天風呂には、3本の竹からお湯が浴槽に注がれている。太い竹を中心に脇に2本の細い竹が設置されているのだが、細い竹の方が、お湯が落ちる場所に腰かけられるようになっていて、打たせ湯になっていた。ちょろちょろと細く落ちてくるお湯は、程よく体を刺激してくれる。
露天風呂からは、秋保の山並みを眺めることができるが、目隠しの柵があるため、ながら湯船に浸かりながら景色を楽しむことはできない。それでも、山の斜面に建てられているため、自然の樹木が目の前に茂っているため、十分に自然を感じながら入浴することが可能だ。
佐勘の日帰りプランを満喫するには、時間配分が肝心
秋保温泉、いや仙台の温泉でもトップクラスの高級旅館、佐勘を気軽に楽しめる日帰りプランだが、一つだけ注意したい点がある。それは、場所によって利用時間が限られている点。各所の利用時間は以下の通り。
日帰りプランの温泉の利用時間
・名取の湯 10時~14時
・姫の湯 10時~13時
飲食チケットが使える食事処の開店時間
・ラウンジ おかみの紅茶 ~12時まで/14時営業再開 ※12時~14時はクローズ。
・ダイニング御蔵 12時~14時
お土産が買える ショップの開店時間
・ショッピングプラザ ~11時30分/13時30分~ ※11時30分~13時30分はクローズ
日帰り温泉が利用できる10時~14時の間に、温泉にはいり、ご飯を食べて、お土産を買うを満喫しようと思ったら、しっかりと時間配分をしないと「お昼を食べようと思ったら、まだ開いてなかった!」「お土産を買いたかったのに、閉まっていた・・・」ということになりかねないので注意が必要だ。
佐勘に行ったら、ぜひ見てほしい家宝の火
ロビーの一角に、佐勘の歴史を知ることができる展示コーナーがある。展示コーナーに入ったすぐの場所に展示されている囲炉裏。実は、この囲炉裏にくべられている火が家宝の火と呼ばれている、特別な火なのだ。
江戸時代の初期に、佐藤家は火災に見舞われた。再建の後に、二度と火災が起きないようにと当時の当主が高野山に祈願しに行き、その時に聖火を火縄に託し持ち帰ったのだと言う。この聖火が、それ以来今も、燃え続けている。400年も昔の火が、この家宝の火なのだ。こんな貴重な火をお目にかかることはなかなかできないだろう。ぜひ、囲炉裏に手をあてて、その400年続くぬくもりを感じてみてほしい。

400年も昔から灯され続ける小さな火
佐勘とあわせて寄りたいスーパーさいち
佐勘に訪れたのなら、併せて立ち寄りたいのが、主婦の店 さいち。佐勘の敷地を出て、1分ほど坂を下りた場所にある。地元の小さなスーパーだが、ここのおはぎ、テレビでも紹介されたことのある秋保温泉定番のお土産なのだ。土日ともなれば、混雑は必至で、細い道にさいち渋滞ができるほど。その人気ぶりは平日も変わらずで、おはぎコーナーの前に列ができ、出来立てのおはぎが次々と客のカゴに収められていた。
味は、あんこ、きなこ、ゴマの三種類。10月からはこの定番商品に納豆も加わるようだ。翌日には固くなってしまうので、ぜひ、当日中に味わってほしい。
秋保温泉 佐勘 日帰り入浴の時間/料金/住所
■営業時間
10時~14時
■料金
【予約不要】温泉満足プラン
大人 2160円 もしくは 2700円(食事とセットのプラン)
子供 648円(入浴料金のみ)
※そのほかの要予約の日帰りプランは、佐勘HPの日帰りプランを参照のこと
■泉質
ナトリウム塩化物泉-低張性弱アルカリ性高温泉
■電話
022-398-2233
■住所
宮城県仙台市太白区秋保町湯元
■HP
伝承千年の宿 佐勘
■map
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