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標高600mの秘湯。栗駒山の自然の恵み、源泉かけ流しの湯|新湯温泉くりこま荘の日帰り温泉

東北の紅葉スポットとして知られる栗駒山は、那須火山帯に属する休火山だ。栗駒山の登山口のほど近くに、栗駒山の自然の恵みをそのまま味わうことができる源泉かけ流しの秘湯がある。それが、新湯温泉くりこま荘だ。

ひなびた山荘風情が妙に落ち着く温泉宿


「近くに源泉が違う温泉があるから行ってみようよ」

その日、私たち家族は栗駒山のコテージに宿泊していた。ここも温泉があったのだが、せっかく近くに異なる源泉の温泉があるのなら、行ってみようということになった。

赤い屋根のくりこま荘は、林の中に建てられた一軒宿で、栗駒山の登山客の拠点となっていることが容易に想像つく山荘風情。ひなびたいい雰囲気を醸し出している。入り口には、「義経し乃びの湯」の看板が。これは、私好みの歴史ある温泉なのではと、期待が一気に高まる。

館内はほのかに薄暗く、木造の建具がつやつやと光っている。小さなロビーには、応接セットや囲炉裏が存在感をその存在感をアピールしていた。

人の気配がせず、フロントは無人。もしかして、お休み?と思っていると、奥からおばあさんが現れた。

「日帰り入浴を利用したいのですが」

すると、おばあさんはちょっと驚いた様子を見せて

「あらあら、ちょっとお待ちくださいね」と言って、また建物の奥に姿を消した。

待っている間に、ロビーをゆっくりと観察する。
小さなロビーに置かれた黒光りした皮のソファーや壁にかけられたギター。それらは、ひなびた味わい深い雰囲気を醸し出し、私の中の山荘のイメージそのものを再現しているようだった。

館内で特に目を引いたのは、ロビーから二階に上がる階段で、昔の洋館を彷彿させるような赤色の絨毯が敷かれていた。この赤絨毯の階段が、薄暗い館内にとても映えていた。

温泉に続く廊下の壁は、義経にまつわる資料が所狭しと展示されている。

5分くらい待っただろうか、フロントに女性が現れて、ようやく受付済ませ温泉に入ることになった。

加温以外、一切無し!本物の源泉かけ流しの湯

「あー、いいお湯だったー!」

ついつい、そんな言葉が何度も口をついて出てしまうほど、本当にいいお湯だった。

源泉かけ流しとうたっているのに、塩素臭がひどい温泉と遭遇したことはないだろうか。私は、一度ならず、何度もある。源泉に加水、循環ろ過していない温泉は、確かに源泉かけ流しかもしれない。しかし、源泉と言われるものから塩素臭がすると、心底ガッカリしてしまう。

しかし、新湯温泉は、源泉かけ流しのイメージを覆さない、本物の源泉かけ流し湯だった。

泉質が冷鉱泉のため加温はしているが、加水、循環ろ過、塩素消毒無し。栗駒山から湧き出た温泉そのままを満喫することができる。

湯温が43度と表記されていたが、実際の体感温度は、熱くもなくぬるくもない、ちょうどよい湯加減。また、露天風呂は、外気温10度だったからか、いい感じのぬる湯で、いくらでも浸かっていられる、ついつい長湯してしまう、そんな湯加減だったのだ。

「ぬるさがちょうどいいね。ずっと入っていられるね」

どのタイミングで上がればいいのか計りかねるほど、長湯には最高の湯加減で、小学五年生の長女も満足そうに湯浴みを楽しんでいた。

ほのかに香る硫黄の香り、湯船にふわふわと舞う湯の花、つい長湯してしまう湯加減。この三拍子が揃った上に、浴場の雰囲気もまた最高だった。壁面、浴槽とすべて木造りで、その色つやから時の経過を感じられた。また、柔らかな照明のなか、窓から差し込んだ日差しに照らされた湯煙が、ゆらゆらと揺れている様子がまた美しい。内湯は足を延ばして入るには、大人が3人も入ればいっぱいの広さ。このこじんまり感が、湯治場ならではで嬉しい。

扉2枚向こうにある露天風呂に出て驚いたのは、すぐそこが林の中だったことだ。

林の中に建てられた別荘のウッドデッキに温泉がある、そんな情景をイメージしてもらうといいかもしれない。かけ流しであふれたお湯は大地に流れ、落ち葉の中に、水たまりならぬ温泉溜まりができていた。

「すごくいいお湯だったー。入ればよかったのにー」

「温泉に入りたくない!」と言った次女と、それに付き合いロビーで待っていた夫に声をかけると夫はとても残念そうにしていた。

ぬる湯にじっくりと浸かったため、湯上りもいつまでも身体がポカポカしていた。体についたほのかな硫黄の香りがいつまでも残り、その残り香をその日一日味わうことができた。

栗駒山の標高600メートルに位置する秘湯

新湯温泉までは、公共の交通機関が整備されていない。宿泊利用の場合は、送迎バスを手配してくれるが、日帰り温泉の場合は、車で自力で向かうしかない。その場合は、東北新幹線のくりこま高原駅、もしくは世界遺産平泉で知られる一関駅からタクシーで1時間ほどで到着する。

私たちは東北道の若柳金成インターから、栗駒山を目指した。田園地帯を車を走らせていると、いつの間にか栗駒山に入り、車がすれ違えるのがやっとの山道を、まだか、まだかというほど、登っていく。まさに、秘湯。

標高600メートルに位置するため、冬は豪雪地帯。近隣の温泉施設は、11月に入ると冬季休業に入るところもあるが、くりこま荘は、冬季も営業している。しかし、平日は予約客のみに対応しているのだとか。くりこま荘に続く山道は、朝晩除雪が入るため道路は問題ないようだ。

義経しのび乃湯のいわれ

館内に義経にまつわる展示物はたくさんあったが、義経がお忍びで湯浴みに来たという記述がどこにもない。

「なぜ義経しのび乃湯なんだろう」

と不思議に思っていると、脱衣所に手書きの解説が掲示されていた。

くりこま荘と義経には、こんな縁があった。

1999年 くりこま荘の社主が義経公迎霊先達となり神奈川県藤沢市の首塚と宮城県栗原市の胴塚の御霊土(みたまつち)を合せ祀り八百十年ぶりに一体の御霊として鎮霊した。
出典元:くりこま荘公式サイト

ん?ということは、義経がお忍びで湯浴みに来ていたわけではなさそうだ。そして、解説をよく読むと、館内に義経の伝説・歴史にまつわる資料を数多く展示しているため、「義経を偲びながら入る秘湯」ということで、「秘湯 義経しのびの湯」名付けたのだそうだ。納得。

新湯温泉くりこま荘の日帰り温泉情報

泉質 含硫黄-カルシウム-硫酸塩泉(硫化水素型) 低張性弱酸性低温泉
営業時間 10時~15時 ※冬期は週末のみ営業。
料金 入浴のみ 大人500円/子供300円
貸切風呂 入浴料+貸切風呂料金 50分2000円 ※要予約
休憩利用 広間 944円/人 個室 二人一室で3400円
電話 0228-46-2036
住所 宮城県栗原市栗駒沼倉耕英東95-2
HP 新湯温泉 くりこま荘
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くりこま荘に来たなら、合わせて行きたい日帰り温泉

くりこま荘の徒歩圏内に、源泉が異なる温泉がほかに2か所ある。せっかくここまで来たのなら、ぜひ制覇して帰りたい。
今回は、残念ながら冬季休業していたため、春が訪れた暁にはまた訪れたいと思っている。

駒の湯温泉

くりこま荘の目と鼻の先にあるのが、駒の湯温泉。
実は、このあたり一帯は、2008年の岩手・宮城内陸地震の地滑りにより被災した地域。くりこま荘は比較的被害が少なかったようだが、駒の湯温泉は土石流により温泉旅館だけでなく源泉までもが埋もれるほどの被害にあった。

その後、別の場所から源泉が湧き出て、今はその源泉で日帰り温泉施設として営業が再開されている。源泉は冷鉱泉まではいかないが、38度程度のぬる湯。湧き出る温泉をそのまま楽しんでほしいという湯守の想いから、加温、循環ろ過、塩素消毒のなし、源泉そのままの温泉となっている。

備え付けの石鹸やシャンプーはなく、「お湯を楽しむ」ことを目的とした温泉施設。

泉質 含硫黄ーカルシウムー硫酸塩泉(硫化水素型)低張性弱酸性温泉
営業期間 4月下旬~11月上中旬
※冬期休業あり
営業時間 10時~17時
※天気や季節等により早めの時間に終了の場合もあり
定休日:毎週水曜日、第2・4木曜日(ただし、祝日の場合は翌日休業。GWとお盆は営業)
料金 入浴のみ(1時間まで)大人500円/子ども300円/3歳~100円

その他の詳細は、駒の湯温泉公式サイト

山脈(やまなみ)ハウス

泉質 ナトリウムー塩化物ー硫酸塩泉 低張性弱アルカリ性高温泉
営業期間 4月中旬~11月上旬
※冬期休業あり 2018年は11月4日が年内の最終営業日。
営業時間 9時~17時(受付16時まで)
定休日:毎週火曜日(ただし、祝日の場合は翌日休業)
料金 入浴 大人400円/子ども400円

その他の詳細は、栗原市観光ポータルサイトへ

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ゆっか

2018年に夫の転勤で、突然始まった仙台暮らし。せっかく暮らすのであれば、東北を満喫しよう! とあちこちおでかけしています。趣味はゆるキャンプ。火とじっくり対峙する時間が好きだから。

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